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橙に染まり来る中で

掌編 / 情景描写 / 2021.03.12 掲載

 夕日が差し込む電車内は赤く染められ、眩しい程に明るい。今日は休日であったため、平日には現在の時間帯に乗客の半数を占める学生も少なく、人は疎《まば》らだった。
 田舎の一両列車は揺れが大きく、その度にがたごとと大きな音が鳴る。その音がいつもより大きいように感じるほど、静かな車内。それに加えて揺れが心地良く、眠気を誘う。
 駅で列車が停まり、乗客が数人降りて、また数人が乗ったのを、うとうととしつつ、音で感じる。
 何気なく、うっすらと目を開けた。駅の方を、向こう側の窓越しに見る。無人駅だから人は居ない。下車した人達も、早々に駅を出てしまったようだ。
 背後の、二本目の線路を、すれ違う電車が通り過ぎていった。するとドアが閉まって、発車する。次で終点だと、アナウンスが告げた。
(2018年06月09日頃)