Love Affair
ネオン街を車で走り抜ける。私は、窓辺にひじをついて、風のように過ぎ去っていく景色をぼんやりと眺めていた。
乗ってしまって、よかったの? そう自分に尋ねても、なんの答えも出なかった。
私の薬指にひかる指輪をみたのに、彼はなにも言わなかった。祝福することも、責めることもしなかった。
いまも彼はなにも言わずに、ハンドルをあやつっているだけ。この車がどこへむかっているのか、私は知らない。
私は、彼が好きだった。彼もたぶん、私を。
恐らく、別の人と結婚したいまでも、あのころと気持ちは変わっていない。彼はどうなのか、それは分からないけれど、でもいまこうして二人で車に乗っているということは……そういうことなのよ。
いいえ、分からない。どうしてなんだろう。どうして、こんなことになってしまったんだろう。なにもわからないけれど、なんだかそれが心地よくて……。
なにもない。なにもおこるはずはないと、そう信じたいけれど、自分に自信が持てないの。だって、また逢ってしまった。もう二度と会うことはないだろうと思っていた人に。大切に感じていたのに、物別れで関係が途切れてしまった人に。
車に乗り込んだとき、私は何も考えることができなかった。彼が、あの「彼」だと分かった瞬間、鍵をして心の奥にしまいこんでいた感情が思いきりあふれだし、おさえることができなくなった。かつての想いが、帰来したの。だから、もう駄目。
直感した。もう、彼にふたたび出逢うまえの……もとの「私」には還ることはできないんだわ。
(完)(2018年02月06日)
Postscript
おもいついたので、おっそいですが、2017年分として納めます。インスピレーション:およげ!対訳くん: Same Old Lang Syne ダン・フォーゲルバーグ (Dan Fogelberg)
創作の内容と曲の意味はだいぶちがうんですが;